◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略 VOL7
 江田島孔明

 今回は、イラク戦争の意味と今後の世界情勢を考えてみる。
 私の分析の手法は、外国のメディアや研究発表に頼ったものではなく、過去の歴史を紐解いて、そこから法則を導き、将来を予測するというものだ。推測や妄想を織り交ぜて、可能な限り、イラクと中東、そして世界の将来を見通してみたい。

△ 第一次世界大戦(WW1)
 中東には5千年以上の歴史があるが、現在に直接連なってくるのはWW1の戦後処理において、ドイツ側に立って参戦したオスマントルコが解体され、英国がその利権を手中に収めた頃からだろう。

 WW1は一般的には、バルカン半島の支配権をかけ、汎ゲルマン主義と汎スラブ主義の衝突から起き、そして、欧州の枠組みを変えたとされる。確かにそのとおりだろう。しかし、WW1の真の意味は、ドイツの3B政策と英国の3C政策の衝突の結果、オスマントルコの解体がもたらした中東の枠組み変容である。この視点はどういうわけか、世界史の教科書などでも大きくは扱われない。

 何故だろうか。それは、WW1で決定されたこの地域の枠組みが、現在の中東情勢そして世界情勢に直接インパクトを与えておりまだ、歴史ではなく、リアルタイムの問題だからだろうと推察される。

 重要な点として、欧州の枠組み変容は欧州というローカルな地域の問題だが、中東の枠組み変容はエネルギーの供給地であるため世界的グローバルな問題なのだということを念頭に入れてもらいたい。G8で中東が主要議題となり、アメリカが中東に戦略重心を移行しているのもそのためだ。

 「石油が戦略エネルギーである限り、中東を制するものは世界を制する」と考えているのだ。中東をハートランドと考えれば、まさしく、マッキンダーに通じる大陸派地政学の実践だ。

△ グローバルな視点
 このような観点から、世界的グローバルな視点から考えたWW1の真の意味はオスマントルコから英国への中東利権移行、WW2の真の意味は英国から米国への中東利権移行というのが正しい。ドイツや日本の枠組み変更は、ローカルな話なのだ。

△ サイクスピコ秘密協定
 WW1の推移については、詳述を省くが肝心のメソポタミア戦線において、1916年4月26日ロンドンに於いて、サイクス(イギリス外務省・中東担当官)とピコ(フランス前駐ベイルート領事)との間でパレスチナからメソポタミアに渡る広汎な地域を含む旧トルコ領土の戦後処理について秘密協約が結ばれた。サイクスピコ協定は当時の秘密外交の所産であり、英仏以外の意見は斟酌されていない。

 協定の骨子はまずバクダットとエルサレムの間に線を引き、その北部をフランスの影響地域、南部をイギリスの影響地域とする。そのうえであるアラブ人王(ハシミテ家から予定)のもとで王国を建設するが、両国の影響下に置かれることに変わりはない。内容は、ベイルートを首都とするレバノン沿海部をフランスの植民地とする。アラブ主権国家をダマスクスに設立し、シリアとしてフランスの保護国とする。

 一方、ハイファとアグラ(十字軍の根拠地)をイギリスの直轄都市とする。後背地のパレスチナは英・仏・露の保護国とする。同時にトランス・ヨルダンからアラビア半島の大部分にアラブ主権国家を設立し、イギリスの保護国とする。メソポタミアはイギリスの自由裁量とし、トルコ東部はロシアの自由裁量とする。

 以上であるが、現在の国境をほぼ決定したと言ってよい。あきれるほどの19世紀的秘密外交には違いないが。イギリスは領域としての領土に最早こだわっていない。ハイファとアグラは石油パイプラインの終点だとして明記されている。この地域を領有しても負担だけで実利はないことに気づいていたのだろう。一方フランスはシリアを手に入れたが、戦間期反乱処理に追われ、治安部隊の派遣費用を負担しただけだった。

△ 第一次大戦後
 一九一九年二月に、イギリス植民地の高官であったアーサー・ハーツエル卿は、同僚につぎのように警告した。
 「スタンダードオイル(米)がイラクを手に入れることを切望していることに留意しなければなりません」(ピーター・スルグレット著『イラクのなかのイギリス』)
 アメリカは、この地域におけるイギリスやフランスの支配に直面して、当初、「門戸開放政策」を要求した。すなわち、イギリスによってイラクの王座にすえられたファイサル国王の傀儡(かいらい)政権にたいして、アメリカの石油会社が自由に契約をとりきめることができるようにせよ、ということだ。
 イラクをめぐる戦勝国内部の矛盾の解決策は、イラクの石油を分割することだった。アメリカは第一次世界大戦での役割への報酬としてイラクの石油の一部を確保した。

 イラクの石油は五つに分割された。イギリス、フランス、オランダ、アメリカが二三・七五%ずつ分割し、のこりの五%が石油王カロステ・グルベンキアンへと流れた。イラク石油のうち、イラクに帰属したのはまったくのゼロ%だった。そうした状態は一九五八年までつづくのだが、それはどのような状況だったのだろうか。

 一九二七年には主要な石油探索がおこなわれ、モスル州で巨大な石油埋蔵が発見された。二年後、アングロ・イラニアン(現BP)、シェル、モービル、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(エクソン)などで構成される「イラク・ペトロリアム・カンパニー」が設立され、イラクにおける石油生産をすべて独占した。

△ アメリカの台頭
 おなじ時期、アル・サウド家は、ワシントンの援助で近隣のアラビア半島のおおくを征服した。サウジアラビアは米国の新植民地として一九三〇年代にうまれた。サウジアラビアの首都であるリヤドにあるアメリカ大使館はアラムコ(アラブ・アメリカン・オイル)という企業の建物のなかにつくられた。

 しかし、アメリカの石油会社とワシントン政府はこれでも満足しなかった。かれらは、ちょうど西半球の石油備蓄のほぼすべてを独占していたように、中東の石油の完全な支配をのぞんだ。それは、当時までこの地域の勝者であったイギリスに、アメリカがなりかわることを意味した。

 ノルマンディー上陸作戦の三カ月前の一九四四年三月四日、イギリスのウィンストン・チャーチル首相が、アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領のもとへ送った手紙は、その帝国主義的な内容の面でも、また敵対的な調子においても異常なものだった。

 「イランおよびイラクにおけるわれわれの油田にたいして、あなた方が『ひつじの目』(ねたましそうに見ること)をお持ちでないことを保証していただいていることに感謝します。そのかわり、私たちがサウジアラビアにおけるあなた方の権益や財産に角を突きつける考えを持っていないという最も十分な保証をいたします。このことについての私の立場は、すべての問題において、イギリスは戦争の結果として、何らかの利点や領土的要求をはじめ何らかのものをもとめないということであります。他方で、わが国は、わが国に属するものはいかなるものも奪われることはないでしょう。あなた方の謙遜な使用人が、わが国の業務を託される限りは」(コルコ著『戦争の政治』)

 この記録が明確に示すことは、アメリカが、イギリスの重要な新植民地であったイランとイラクを奪取することを渇望していたということだ。チャーチルのこけおどしにもかかわらず、増大するアメリカの力をおさえるために、イギリスができることは何もなかった。
 第二次世界大戦の世界的意味とは、英国中東利権のアメリカによる奪取なのだ。 

△ 一九五八年のイラク革命
 しかし、一九五八年七月一四日、イラクは強力な社会的爆発によってゆり動かされた。軍部の反乱は国全体にわたる革命へ発展した。 
 アイゼンハワー大統領は、「朝鮮戦争以来のもっとも重大な危機」だと叫び、イラク革命の翌日、二万人のアメリカ海兵隊がレバノンに上陸しはじめた。その翌日、六六〇〇人のイギリスの落下傘部隊がヨルダンに飛来した。

 これは、「アイゼンハワー・ドクトリン」として知られる政策の具体化だった。すなわち、アメリカは世界戦略上、死活の利益をもつ中東における革命の広がりを阻止するために、直接的な介入、すなわち戦争を行うということだ。

 しかしアイゼンハワーと、その将軍および大国主義的な国務長官ジョン・フォスター・ダレスは他の狙いを胸の中に秘めていた。それは、イラクを侵略し、革命をくつがえし、新たな傀儡(かいらい)政権をバグダッドに設立することだった。ただ、ワシントンは、次の三つの要因によって、この一九五八年の計画を放棄せざるを得なかった。
 1.イラク革命が徹底した特徴をもっていたこと
 2.イラクに隣接するアラブ連合共和国が、もし帝国主義が侵入することがあれば、帝国主義と軍事的にたたかうであろうと発表したこと
 3.中華人民共和国やソ連が、革命にたいして確固として支援したこと。ソ連は、イラクに隣接する南部の諸共和国の軍隊を動員しはじめた。

 これらの要因が重なって、アメリカはイラクの革命を受け入れざるを得なかった。第三次世界大戦の可能性があったのだ。しかし、ワシントンは、実際にイラクの損失に甘んじなかった。

 一九八〇年代には、アメリカはイランと戦争させるために、イラクにたいして資金を提供し、軍事援助をおこなった。イランへのアメリカの支配が、一九七九年のイスラム革命によって終焉させられたからだ。
 しかしながら、イラン-イラク戦争におけるアメリカの本当の目標は、勢力均衡の観点から、両方の国を争わせることだった。前国務長官ヘンリー・キッシンジャーは、戦争に関する実際のアメリカの姿勢について、「私は、彼らが互いに殺しあうことを望みます」と述べている。逆説的ながら、この時期、中東は安定していた。

 ソ連崩壊後、ユーラシアの米ソ共同管理ともいえる冷戦が終了し、アメリカはこの地域への野心を露にし出し、湾岸戦争に繋がる。第三次世界大戦の脅威がなくなったため、イラク獲得に着手したのだ。湾岸戦争はイラクを兵糧攻めして、弱体化することを目的としていたといえよう。そして十分弱体化したことを確認して開戦した。

 肝心な点はアメリカのイラク獲得は20世紀の始めから、冷戦期の中断を含め、100年がかりのプロジェクトなのだということだ。イラクを獲得すると、その原油利権のみならず、地理的に中央に位地するため、サウジとイランを配下に置くこともできるのだ。イラクは中東又は、ユーラシアのハートランドつまり、関が原だ。

△ 現在のイラク
 イラク戦争の前、フランスが国連監視下のイラクに原油輸出が認められた際、ユーロ建てを持ちかけた真意は、ドル機軸体制に風穴を開け、イラクをEUの保護国にするということと考えると、これはWW1の前のドイツの3B政策に通じるものがある。米英としてはそれは受け入れられないため、戦争に訴えたのもWW1において3C政策を掲げた英国がドイツを打倒したことと重なる。

 こう考えると、英米のイラク支配はかってのサイクスピコ秘密協定を復活させたようにも見える。国連安保理で新決議がなされる背景は、すなわち、英米はシリアには手をださない。そのかわりにフランスはイラクをアメリカに譲るということではないだろうかと推測される。このような観点からイラクを英米に譲った以上、フランスは軍を出さないのは当然だ。米仏間の密約の内容が不明であるため断言はできないが、取引は当然あったのだろう。

 イラク戦争の本質は、イラクを英米VS中露独仏で奪い合ったということだ。中国の弾道ミサイルの中東への売込みを阻止したという面もある。弾道ミサイルの中東への蔓延は看過できないのだ。

△ 基軸通貨の争い
 イラク戦争の真の意味は、ユーロ圏をユーラシア大陸につくろうとしたフランスに対し、アメリカは軍事攻撃でそれを潰すという決意表明にあったと考える。フランスはそのメッセージを受け、ユーロによるドル機軸体制の打破の放棄があったかどうかが問題だ。

 イラク戦争を通じて分ったことは、アメリカは資源を買うのではなく、軍事力で奪う。それに対して独仏中露は軍事力で阻止しようとはしない。
 よって、ドル価値の担保は最終的には核を含む、軍事力でなされる、ということだ。要するに、ドルの価値はアメリカの財政赤字や貿易赤字に左右されず、軍事力の担保がある限り、基軸通貨の地位は奪えないという意味だ。

 忘れてはいけない。アメリカは独仏中露全てを敵に回して打倒できる軍事力を持っているということを。今後の世界はこの軍事力を中心に考えるべき時代に入ったということだ。イラク戦争の教訓として、世界はアメリカ核を含む軍事力本位制を思い知らされのだ。

 この軍事力と、アメリカ市場が経済の最終消費地である限り、ドル機軸体制は奪えないのだ。問題はそれがいつまで続くかだけだ。逆にいえば、ユーロが基軸通貨になるには、EUが米国を上回る軍事力を身につけ、世界の安全を保障し、世界経済で最終消費地すなわち、市場として米国を上回ることが条件だ。

 EUは過去の大陸欧州の帝国とおなじくランドパワーであり、ランドパワーである以上、ローカルな存在でしかなく、脆弱な体質を持つ。空中分解するだろうから、米国に替わるシーパワーすなわちグローバルパワー(覇権国)となることは、あり得ないと考える。むしろ、欧州域内の安全保障もおぼつかない。

 古代ローマからWW2のナチスにいたるまで、欧州大陸を支配したランドパワーは権力の独裁と集中を必要とした。EUにはそれがない。だから、失敗する。 万一、EUがそのような独裁権力=ローマ皇帝(第四帝国)を手に入れた場合、ナチス(第三帝国)と同じように、米露によって叩き潰される運命にあることを付言しておく。どちらにしても、EUに未来は無い。

 EU25か国で6月10日から13日にかけて実施された比例代表制の欧州議会(732議席、任期5年)選挙は13日夜、投票が締め切られ、開票が行われた。
 主要4カ国とポーランドでEU拡大を進めた与党が敗北し、新加盟の東欧の投票率が29%と低く、 特に英国でEU脱退を主張する英国独立党が11議席を獲得し、大躍進する勢いを見せたのは、EU分解への第一歩だろう。

 この選挙の結果を見れば、EUを過信してはいけないことが分かる。EUは欧州人にすら、見放されつつあるのだ。EUはフランスを牽引車、ドイツをエンジンとしてきた。過重な財政負担を強いられ、財政が危機状況にある「EUのエンジン」ドイツがいつEUにNoというか・・・私はそこだけを注目している。

△ 戦国時代の幕開け
 このような流れの中で、イラクで暫定政権という名のアメリカの傀儡が出来て後、安保理の新決議が全会一致で出された。イラクの先行きに楽観論が広がっているが、私は、逆だと思う。

 なぜなら、「口実を設けて武力侵略しても、傀儡政権を作ってしまえば、国連のお墨付きを得られる」という前例になったのだ。戦前の満州事変と同じで既成事実は容認ということだ。このような前例ができてしまうと、失敗してしまうまでそれを継続するのは、日本陸軍の例と同じだろう。

 より根本的には、国連のお墨付きを得て、世界は戦国時代もしくは帝国主義の時代(19C)に逆戻りしたということだ。戦後のヤルタの枠組みは、ソ連の崩壊で有名無実化してしまったが、「軍事力による世界の枠組み変更」が正当化された以上、イラク戦争において、本当に死んだと言える。
 すなわち、米中露EUを主役として、其の他の地域を脇役とする、資源獲得のための戦争や権謀術数、虚々実々の駆け引きが正当化されるのだ。資源獲得競争が生んだ、二度の世界大戦の経験から、そういうことを止めようという反省に立った、戦後のあらゆる努力は水泡に帰した。

 日中の開戦も早いだろう。アメリカが開けた扉は世界を地獄に落とす可能性すらある。後世の歴史家は言うだろう。
 「戦後の冷戦期は米ソの均衡もしくは共同管理により、例外的にユーラシアの安定が保たれていた時代だった。米ソ共同管理が崩れたことにより戦国時代が始まった・・・」と。

 今世界で起きていることの本質は、戦後の枠組みが完全に崩れ、リムランドを支配していたシーパワーが戦略を転換し、ランドパワーの聖地であるハートランドに殴りこみをかけ、争奪戦を開始したということだ。そのように、サミットでの米仏の対立の背景を見ることが必要だ。
 もっとはっきり言うと、第一次世界大戦前に逆戻りしたのだ。

△ イスラエルの存在
 アメリカの石油資本の視点からは、産油国ではないシリアを獲っても、パイプラインを地中海に通す程度の意味しかない。そのため、フランスと妥協できるだろう。しかし、イスラエルの安全保障の観点からはレバノンとシリアの獲得は、長期的には必須だろう。
 イスラエルとしては米軍の戦線を何とかシリアに拡大し、イラクの石油をパイプラインを使って、シリア経由で確保したいのだ。

 現在、単独行動主義者はイラク戦争の見通しを誤ったことにより政権内の地位を失いつつある。ブッシュ大統領も拡大中東圏の民主化構想はソフトなアプローチで達成する方針だ。

 しかし、彼らは追い詰められればどんな手段(テロを含む)でもとるだろう。アメリカ政府が彼らとその背後の勢力に再度支配されないという保証はない。民主化を嫌う中東諸国と手を握ることも考えられる。短期的にはサウジやイラン、シリアはアメリカの影響下におかれるが、必ず反米傾向を強めると考える。

 次に米国内で大規模テロが発生した場合、アメリカは徴兵を実施し、かつ小型核兵器の使用を解禁するだろう。その際のターゲットはシリア、サウジ、イランのいずれかだ。ポイントはイスラエルによるアメリカ支配がどうなるかだ。

 反米感情を和らげるため、サウジ駐留の米軍をカタールに引き上げたため、テロが続発しているのは、サウジ政府の依頼で合法的にサウジ駐留を果たす戦術なのではと疑っている。

△ アメリカのイスラム化
 ランドパワーにとっての最終兵器は「人口」だ。100年のスパンで、合法的に移民させ、その国を乗っ取るのだ。アメリカは米西戦争の結果得た西海岸から、大量のヒスパニックの流入にあい、ヒスパニック国家と化しつつある。今度はイラクを抱えた以上イスラム教徒の流入も加速する。

 22世紀にはイスラム教徒とヒスパニックの連邦国家になっていると考える。出生率の低下した白人は彼らの人口圧力に耐えられない。ローマがゲルマンに飲み込まれたように。白人はマイノリティとなり、独立直後の東部13州に押し込められるかもしれない。

 このような状況でアメリカのユダヤ支配は長期的には破綻すると考える。そうした場合、ユダヤ人はアメリカを脱出するしかないだろう。行き先は日本になる。
 戦後の日本国憲法制定から金融ビッグバンを含むあらゆる改革は彼等の受け入れ準備のためなのだ。都内在住の方、あるいは都心に勤務先がある方などはお分かりだろうが、とくに品川、汐留、六本木、神保町あたりで大規模都市再開発が盛んになっている。こうした再開発地の特徴は、全てに高層マンションが含まれているという点だ。ソロスも日本の不動産取得に本腰入れだした。まさに、東京のマンハッタン化であり、NYから彼らが拠点を移す準備といえる。

△ 日本の立場
 グローバルな視点では、WW1の頃から英米シーパワー国は中東支配を戦略的な重心にしていたことがお分かりいただけただろう。米軍の世界的再編もまさに、中東シフトにその根幹がある。日本はそれにどこまでつきあうべきか。中東が有史以来戦国時代であり、今も国連安保理諸国の激突の最前線すなわちハートランドであることを考えると、日本のでる幕は無いと考える。仮に石油利権をこの地域に確保しても、どうやって防衛するというのか。

 どう考えても日本が中東全域を対象にした戦争に参加するのは、ペーパードライバーがいきなりF1レースに参加するようなものだ。
 一刻も早く、石油代替エネルギーを開発し、大陸棚開発に活路を見出すべきだ。脱石油化は日本の死活問題だ。

△ 憲法問題
 急速に進む在日米軍と自衛隊の統一化の下、自民党政府が憲法を改正して集団自衛権を認めさせようとしている真の意図は、アメリカの指揮の下、自衛隊を全中東地域に派兵するためだ。いずれは徴兵も施行されるだろう。2000年10月に発表された、アーミテージレポートは日本に対して、明確にイギリスと同じような軍事的コミットメントを求めている。
 はっきり言えば、小泉政権とは戦後の歴代政権が唯一やら無かった、アーミテージレポートを実現し、「日本の統帥権(軍事指揮権)をアメリカに売り渡す」ことを目的とし、アメリカが作った政権である。
 G8サミットで小泉首相が日本国内での議論の前に、多国籍軍への参加をブッシュ大統領に確約し、既成事実化したのはそのためだ。

 このままアメリカについて行き、全中東を戦域にすることは狂気の沙汰としか思えない。国民世論としてアメリカにNoという必要が有る。その為には政権交代しかない。参院選では民主党に入れてみる。

△ 環太平洋連合
 このように、アメリカが中東に戦略重心を移した以上、日本は独自の安全保障体制を構築する必要がある。環太平洋連合はそのための提言だ。日英豪で一致してアメリカに圧力をかける枠組とするのだ。アメリカが言うことを聞かなければ、袂を分かつしかない。それは英豪も同じだ。
 イラク戦争においても、アメリカは本質的に、日英豪のサポートは不要で、単独開戦もありえた。次の戦争は、単独でやってもらうしかない。

△ アジアのパワーバランスの変化
 イラク戦争がアジアにもたらした影響として、米軍の減少が力の空白を生むことから、大軍拡があげられる。以下を参考にされたい。

<参考>
1)在韓米軍の再編
 −兵力を約3万7000人のうち、1万2500人削減
 −陸軍第二師団と龍山基地司令部のソウル以南への撤退(烏山基地、平沢基地への統合)
 −パトリオットPAC3導入
 −日本海へのイージス艦の配備
 −向こう3年間110億ドルを投資して在韓米軍近代化を図る
 −無人偵察機(UAV)プレデター導入
 −迅速機動旅団(SBCT)配備。装輪式装甲戦闘車(LAV)配備
 −アパッチAH−64D対戦車ヘリ部隊の強化

2)韓国軍の自主防衛力強化 
 −国防費は13%増。国内総生産(GDP)比で今年の2・8%から2・9%に上昇(21兆4752億ウォン(約2兆1400億円)
 −空中警戒管制機(AWACS)導入事業
 −対空ミサイル誘導武器(SAM−X)
 −戦力投資費を16%増の7兆3003億ウォン(約七千億円)
 −海空戦力の大幅強化。イージスシステム駆逐艦導入、ストライクイーグル(F15-K)、新型潜水艦(原子力潜水艦の可能性もあり)、1万3千トンクラス揚陸強襲艦(ヘリ空母)導入など。

3)在日米軍の再編
 −米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)を米軍座間基地(神奈川県)へ移転
 −米海軍太平洋艦隊哨戒偵察部隊司令部(米ハワイ州)を米軍三沢基地(青森県)へ移転
 −将来的に横須賀に原子力空母配備(2008年キティーホークが退役予定)とのファーゴ第7艦隊、司令官コメント
 −米本土への大陸間弾道弾(ICBM)の探知・追尾用の「GBRレーダー」の日本への配備。(日本海へ配備予定のイージス艦のレーダー情報とともに、データを米本土の迎撃ミサイル発射管制システムに送信する)
 −(在日米軍ではないが)グアム島のアンダーセン空軍基地にステルス爆撃機B2スピリット、無人偵察機、グローバルホーク、空中給油機などの常駐を検討

4)自衛隊の強化
 −ミサイル防衛。パトリオットPAC3導入と新型レーダーの配備、イージス艦にSM3の導入、MD用の地上レーダー配備「FPS−XX」08年度から順次配備
 −自衛隊版RMAの実施。AWACS、空中給油機導入、JDAM(GPS誘導爆弾)導入し支援戦闘機F2へ搭載
 −航空自衛隊航空総隊司令部(東京都府中市)を米軍横田基地(東京都)へ移転(航空自衛隊の指揮権がアメリカ空軍の傘下に編入されて行く?)
 −海上制圧能力の向上。哨戒機PX開発、新DDH(ヘリ空母)導入、大型輸送補給艦の導入

5)台湾軍の強化
 −パトリオットミサイルPAC3配備(弾道ミサイル迎撃能力あり)
 −弾道ミサイル防衛にも対応可能な超高周波の早期警戒レーダー最大2基を米国が供与
 −キッド級ミサイル駆逐艦供与、ディーゼル推進潜水艦の供与

△---中日海洋戦略水面下での攻防−日本は対中国戦略極秘ファイルを作成
 http://www.chubun.com/2004/06b/gb/02-02.htm
6月10日 中文導報(在日華僑新聞)
 本紙報道(記者 張石)最近、中日間で中国海洋調査船の問題をめぐって論争がやまない。今年第1四半期、中国海洋調査船が中日の論争となっている海域と日本の専属経済海域において11回も頻繁に活動しており、去年一年間でも8回以上はなかったのに、ここ数年の記録となった。最近、中日にはまた「島岩の争い」が現れ、両国の論争となっている海域をめぐる紛争は日に日に白熱化している。中日周辺海域は緊迫感を増す。

 《国連海洋法条約》によれば、中国の管轄となる専属経済区は300万平方キロメートル近くあるが、周辺国家と論争がある区域は半分に達する。中国海軍の制海力が不足しているため、多くの主権論争は長期にわたり放置されるほかない。
 中日海洋紛争の直接原因は、1996年に日本が公布した200海里専属経済区によるもので、釣魚島付近の海域をも含めてしまった。最近、日本政府はまた民間と協力で「大陸棚調査会社」を創立し、中国の目の前で奪取する希望を国連に申告しており、国連に日本が提供する資料を根拠に中日海域の争いを判定させるように促している。

 現在、台湾は日増しに独立気運が高まっており、「中台には必ず1戦がある」はすでに中国のある種の共通認識となっている。対台湾作戦には、日米の軍事封鎖を打破する事が必須であり、1歩1歩辺境戦略空間を拡大し、包囲を突破するのが必要だ。この1点をやり遂げる事こそが、戦略探索の第一歩となるのだ。
 日本《朝日新聞》著名論説家の船橋洋一は指摘する:中国海洋調査船は、潜水艦航行のために情報を収集するのだとも思われていて、台湾海峡が緊張の際、米国の航空母艦に対する抑止力を高め、米国に対して牽制を行うためかもしれない。
 ある台湾の専門家は指摘する:辺境側から見てみると、中国大陸は1つの半封鎖的陸海大国で、中共兵力は第1島封鎖ラインを超えて展開する事は出来ず、冷戦時には特にそうだった。たとえ今日になったとしても、中共海軍が封鎖を突破して大平洋へ進攻する経路はそれほど多くはない。日本の沖縄島の南端から台湾の東北方面に至る間には1本の北浅南深の水中峡谷があり、中共潜水艦にとって米日反潜水艦区という最要害突破口となっていて、そのため中国海洋調査船が頻繁にこの海域に出没するのも自ずと明らかである。しかしこの地区は米日アジア太平洋反潜水艦の中でも最大の防御区域で、中共の包囲突破にとって眼前に聳え立つ山となっている。中共海軍の大平洋進攻への第二経路はバシー海峡にある。この海域の漁場密度は小さく、水文環境は潜水艦に対し有利で、中共海軍は過去何回もここから太平洋入りしたが、この航路の最大の弱点は基地から遠く離れており、潜水艦に万一の事故が起きたらと支持されておらず、しかも米日の反潜水艦部署は弱小ではなく、この航路は安全だとは限らない。要するに難易を問わず、台湾海峡東部へと突出するのは中共の包囲突破の必然的な選択であり、このような基本思想は「専属経済区と大陸棚の防衛戦略」上に反映されている。

 この戦略の核心は、考えてみると、大陸の200海里専属経済区と350海里の大陸棚以内に属する海域を範囲として、沿海の繁華地帯を後ろ盾にし、近海島峡を拠り所に、海、陸、空、軍、警、人民の全体能力を発揮するところにある;海、空、第2砲兵部隊と島守部隊を戦略第一展開部隊にし、縦深陸軍を第2展開部隊にして、島々を海上及び近海作戦と一体となし、敵を12海里から350海里の領海内で殲滅する事に極力努め、沿海の繁華地帯の持続的発展を確保する。

 日本も鳴り物入りで「台湾有事」を研究した時、中国軍隊対南西諸島進攻への戦略計画を防備した。聞くところによると防衛庁陸上幕僚総監督部は最近秘密裏に「台湾有事」の際に、沖縄県宮古島、石垣島と先島諸島に7200人を配置する作戦計画を制定した。この極秘ファイルは、去年11月に改正された日本《防衛計画大綱》の一環で、陸幕防衛部が作成し、極秘ファイルとして処理したものだ。

 この計画は中国大陸の台湾進攻時、中国は日米参戦を制圧するため、まず台湾から110キロメートルに位置する日本最西端与那国島まで進撃すると予測しており、陸幕防衛部が中国軍隊の編成と装備を研究した後に指摘している:もし中国軍隊の進攻が宮古島と与那国島の両島だけならば、日本は1400人を配置する;もし進攻が石垣島を含める三島ならば、日本は5200人を配置する。事前に、日本は三島にある空港、港、基地に陸上自衛隊7200人を配置する。中国軍隊上陸後は、千葉県習志野市に駐屯する第1空挺団を中心として、緊急に状況対応グループを形成する。  以上
(江田島孔明、Vol.7完)



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