◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略 VOL13
江田島孔明
△ 交渉のためには何が必要か
国際金融資本の対日進出は、織田信長以来、4.5世紀に渡るプロジェクトだ。現在、その最終段階に入っている。はっきり言えば、織田信長から小泉純一郎に至る日本の指導者は第二次世界大戦の時期を除いて、全て彼等の意向で外交、安全保障そして内政まで決められてきたともいえる。では、日本の指導者は彼等の言いなりになるしかないのか?そんなことは無いと思う。日本の指導者の「器」によっては、彼らと十分張り合える。例として、高杉晋作は四カ国艦隊との戦闘の後、敗戦したにも関わらず、英国連合艦隊の彦島割譲要求を拒否したし、吉田茂や佐藤栄作はアメリカの出兵要請を断り、沖縄を取り返したりした。佐藤栄作はベトナム出兵要請に対し、そんなことをすると社会党に政権を奪われるといって拒否し、米国も了承したとのことだ。何故この程度の腹芸を今の政府は使えないのか。
要するに国際金融資本も日本側の「人間」を見て、ただの使い走りか、パートナーかを判断しているのだ。そして、現在の日本政府には、彼らが評価する「パートナー」は皆無だということが最大の問題だ。昭和天皇が崩御してから特にその傾向が甚だしい。戦後、彼らが最大に評価した日本人は「昭和天皇」であったことは議論の余地はない。
国際金融資本は昭和天皇に遠慮していたのだが、その崩御の後、金融ビッグバンを始めとする対日収奪を本格化させた。彼等の昭和天皇への敬意の根底にはあるいは日ユ同祖論があったのかもしれないし、天皇個人の人格によるところも大きかったのかもしれない。戦前の日本の親ユダヤ政策のためかもしれない。本当の理由は分からないが、彼等の日本の皇室に対する接し方が欧州の敗戦国の王室に対するそれと根本的に異なっていることを指摘したい。
国際金融資本との交渉には、彼らが評価する高貴な人格を備えた人物が必要だ。そのような人間が「環境と人間」について、彼らと交渉する必要がある。上手くいけば、彼等の情報網、戦略性、ソフトパワー、資金力と日本の先端技術、民度の高さ、温和で均質な国民性は相互補完関係となる。彼らにとっても、アメリカやイスラエルを追い出された後、行き先は北半球の先進国では日本くらいしかないのだから、大家としての立場を自覚する必要がある。具体的には外国人の不動産取得に規制を設け、取引条件とするなど。
△ 彼らとの提携可能性
肝心な点は、国際金融資本が、一時の利鞘を抜くためだけに日本に投資するという判断をさせることではなく、長期手に世界全体を鳥瞰して、日本こそが環境の面からも、治安の面からも、安全保障、人的資源、階級や宗教対立といった観点からも、真に投資から長期的生存、持続的発展に耐えうる稀有な土地との認識をもたせ、日本の発展こそが彼らにとっても利益になり日本こそが彼らを受け入れるラストリゾートになるとの確信をもたせることである。
彼らと我々は「同じ船」に乗っていることを双方が自覚すべきなのである。私はこの考えを都内在住の米国人(白人)との交流を通じて確信した。彼らは米国社会はかなり破綻していると見ていて、日本での生活のほうがはるかに居心地がよいと感じている。ここまで読んでこられた読者諸兄はお気づきであろうが、シーパワーとは知識や情報に立脚した、いわば、ソフトパワーでもある。金融資本はその根幹をなすのであり、彼らが有する世界中の情報を手に入れることができれば提携のメリットは金銭では計り知れないほど大きい。
日露戦争はかって、この提携が、上手く機能したことを物語る。当時、戦費調達に困っていた日本政府は高橋是清蔵相が先頭に立って、海外の銀行に資金援助してくれるよう働きかけたが、アジアの小国、日本をどこの国も相手にはしてくれなかった。そんな時、唯一当時のお金で2億ドルもの債券を引き受けてくれたのがアメリカにある投資商会クーン・ローブ社のヤコブ・H・シフであった。ドイツのフランクフルト出身でユダヤ人のシフは、ロシアで迫害されるユダヤ人を救うため、ユダヤ人弾圧国家であった帝政ロシアと戦う日本に同調した。更に、上述のように、金融資本主導のイギリスが日英同盟締結から、情報の面で全面的に日本を支援したことはいうまでもない。第二次大戦における、杉原千畝のビザ発給や上海やハルビンでの日本軍の活動も彼らに感謝されている。日本の戦後の発展は、彼等の好意的サポートがあったことは間違いない。
<参考>
戦前の日本の親ユダヤ政策について、下記参照
国際派日本人養成講座
日本海軍が護る上海は1万8千人のユダヤ難民の「楽園」だった。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h14/jog260.html
JOG(257) 大日本帝国のユダヤ難民救出
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_1/jog085.html
人種平等の精神を国是とする大日本帝国が、ユダヤ難民救出に立ち上がった。
JOG(085) 2万人のユダヤ人を救った樋口少将(上)
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_1/jog085.html
人種平等を国是とする日本は、ナチスのユダヤ人迫害政策に同調しなかった。
JOG(086) 2万人のユダヤ人を救った樋口少将
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_1/jog086.html
救われたユダヤ人達は、恩返しに立ち上がった。
JOG(021) 6千人のユダヤ人を救った日本人外交官
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h10_1/jog021.html
日本経由で脱出を願うユダヤ人6千人にビザを発給。「スギハァラ。私たちはあなたを忘れません。」
JOG(138) 届かなかった手紙 〜あるユダヤ人から杉原千畝へ〜
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h12/jog138.html
世界はアメリカを文明国という。私は、世界に日本がもっと文明国だということを知らせましょう。
△ 国家や資本といった近代的価値の相対化を受け入れ、限定的に中世を復活させる
現代に生きる我々は、近代的国家や、資本主義を絶対的なものと思い勝ちであるが、歴史を見ればどちらも、たかだか200年前後の歴史しかないことが分かる。英国シーパワーたる、金融資本主導の産業革命がその契機であろうと思われるが、18世紀中期以降CO2排出量が急増している事も事実である。
つまり、資本(金本位が廃されて後、管理通貨制度下の紙幣といってもいい)と国家に代表される「近代」は、自然を客体と位置づけ、科学によって、操作しうるものとのパラダイムを構築した。しかし、同時にこれは環境破壊や地域、家族といった共同体破壊という悪魔のコインの片面(シーパワーの負の面)であることにも気づかなければならない。そして、国家や資本が我々を裏切らない保証は全くなく、むしろ歴史を見れば裏切るケースの方が圧倒的なのではないか。だからこそ、我々はランドパワーの伝統的価値観である家族や地域という単位を見直し、新たな他者との関わり方を模索する必要があると考える。
中世ドイツの格言に「都市の空気は自由にする」というのがある。自由には孤独と責任がつきまとい、人間は一人では生きられないことを考えると、この言葉の持つ意味は重要である。共同体から切り離されて生きていける原子的個人など存在しえない。やはり我々は失われつつある共同体を取り戻し、経済成長を若干犠牲にしてでも真に豊かさを感じられる社会をつくるべきだ。上述の環境会計導入の真の意味はここにある。
過去の文明の衰亡には家族や地域の助け合いや相互扶助の欠乏というのは決定的に影響していた。日本もそのパターンにはまりつつあるのである。さらに西欧近代の自然科学を基盤とした進歩、競争するだけのベクトル、モメンタムは結局文明を衰亡させる。
かっての地中海沿岸が緑深き沃野だったのが、開発により緑(レバノン杉)を失いやがて滅びた。翻って日本の江戸期など山林開発に禁制を設け枝一本は腕一本、一木は首一つといった重大な罪に問い、しかし260年の安定を維持したことの対比は重要である。シーパワーは危機に際して、新たな枠組みを作ることによって先へと進み、未来を切り開いてきた。その先進性、開明性は今後「利益」、「個人」、「進歩的発展」から、「環境」、「共同体=個人ではなく他者との絆」、「持続的発展」へと向かうであろう。その為に近代の枠組みを変える時が来たのである。
提言としては、社会の最小単位である、結婚の意味を再度見直し、具体的には、婚姻にあたり、双方が合意できる契約書を作成し、できるだけ紛争や利害を調停する枠組みを構築すべきである。ここをしっかりしていないから、容易に離婚に走るのである。さらに、地域が今後の重要な社会集団となることは疑いなく、企業も社員の地域活動を積極的に後押しすべきである。地域の青少年と中高年の交流の場を設け、青少年の夢、未来に対して、中高年がバックアップし、積極的に投資する枠組みを設けるべきである。
華僑や国際金融資本がバイタリティーを失わない、真の理由はこのやり方を歴史的に維持することにより達成される世代間の連帯にある。この実現により、そのほとんどが中高年に所有されている、日本の1200兆円といわれる金融資産は有為な投資先として、次世代を担う「人」の育成に回るのである。無意味な金融商品で浪費するよりはるかにましである。
更に、最悪のシナリオを想定し、今後戦争や環境破壊で北半球での文明的生活が危機に瀕しても南半球で中世的農耕と牧畜の暮らしができ人類が種として維持されればそれでよいという考えを広く共有すべきである。環太平洋連合の真の意味はここにある。もちろんそのような事態を回避するために、人類が英知を振り絞る必要があることはいうまでもないが。
△ 日本とユダヤ
日本の文明とは多神教に依拠する女性原理(アマテラス)だ。一方、ユダヤ教は砂漠の一神教であり、厳格な男性原理だ。両者の合一は男女の合一のように、新しい文明を生む可能性があると考える。日本に「彼らが評価する高貴な人格を備えた人物」が表れなければ、今のアメリカ人のように、収奪され、戦場に送られるだけの存在になるのだが。今後は、日本人の側に、自覚と自己研鑽が必要になる。彼らとの提携には常に飲み込まれてしまう
危険が伴う。だから毒を承知で食べる「河豚」なのだ。ボールは、我々日本人が握っているのだ。日本文明の核心は、ユーラシア大陸の人や文化を全て吸収し徹底的に日本化していく、その精神性と受容能力の高さだ。寧ろ、ユーラシアでは既に廃れた過去の文化が儒教を始めとして日本でよく保存されたと考えるべきだ。現在、日本人に問われているのは、古代より我々の先祖が行ってきた受容能力の発揮と、其れに基づいて新しい時代を開くことだ。そして、重要なことは、世界もそれを求めているということだ。ユダヤ人の碩学、アインシュタインを始め、日本を訪れた世界中の識者の言葉はこの文脈で理解する必要がある。
(1)アインシュタイン博士の言葉
アインシュタインは日本人に好感を持っていたようで、息子への手紙には、「物静かで、控えめで、知的で、芸術好きで、思いやりがあってひじょうに感じがよい」としたためている。また、日本の雑誌に寄せたエッセイの中では、「西洋と出会う以前に日本人が本来持っていた、(中略)謙虚さと質素さ、日本人の純粋で静かな心、それらのすべてを純粋に保って、忘れずにいてほしいものです」という言葉を残している。
近代日本の発展ほど世界を驚かせたものはない。一系の天皇を戴いていることが、今日の日本をあらしめたのである。私はこのような尊い国が世界に1ヶ所ぐらいはなくてはならないと考えていた。
世界の未来は進むだけ進み、その間幾度か争いが繰り返されて、最後に闘争につかれる時が来るだろう。その時人類は必ず真の平和を求めて、世界の盟主をあげなければならぬときが来るに違いない。 その世界の盟主は武力や金力ではなく、あらゆる国の歴史を超越した最も古く、かつ尊い家柄でなくてはならぬ。
世界の文化はアジアに始まってアジアに帰る。それはアジアの高峰・日本に立ち戻らねばならない。
我等は神に感謝する。天が我等人類に日本という尊い国を造っておいてくれたことを。(1923年11月28日来日時の言葉)
(2)トインビー博士の言葉
「この聖域にはあらゆる宗教の根底に横たわっている統一性を感じる」(伊勢神宮に詣でて)
(3)ダライ・ラマ法王の言葉
「伊勢神宮の平和的な環境が美しく素晴らしい。そしてこの自然を維持していることに驚きと共に感動しました」(2003年11月4日 伊勢神宮参拝時)
(4)ヨハネ・パウロ二世の言葉
ここかしこ比類のない美しさ、目に見えるあらゆるものに隠れた神の現存をあらわす美しさで際立っている皆さんの国への私の訪問……中略……私は皆さんの宗統によって培われた親切、善良、思慮深さ、優しさ、勇気などの諸徳に、神の霊が結んだ実を認めるものです。
この神の霊は、私達の信仰によれば「人間の友」であり、「全世界を満たし」、そして「万物を結び合わせる」お方であります。(1981年2月訪日時)
<参考>
満州にユダヤ国家を樹立せよ!!〜幻に終わった「フグ計画」
http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/no_frame/history/honbun/project_fugu.html
日本の会社いかがなものか
http://www.ne.jp/asahi/shin/ya/ 以上
(江田島孔明、Vol.13完)
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