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◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略 VOL17
 江田島孔明

 前号までで、世界は国際金融資本のコントロールが及ぶ地域と及ばない地域が、激烈な闘争をしていることをご理解いただけたと思う。
 ここで、視点を変えて、より重要な命題を提起したい。それは、「人類史は数十年のスパンでは、人為によって左右されるが、数百年のスパンで見ると、地球環境の変化によって左右される」ということだ。例えば、四大文明はほぼ同緯度にあるが、紀元前はあの地域が温暖な気候であり、緑深き沃野だったのだ。例えば、上エジプトには草原を象やキリンが失踪する壁画がのこされているし、地中海東岸はレバノン杉に覆われていた。しかし、現在、この地域は全て砂漠と化している。日本史においても、縄文時代から弥生時代への移行には、大陸からの渡来人(弥生人)の侵略(これも寒冷化の影響で大陸が戦国時代を迎えたためであろうが)があったこと以上に、寒冷化の影響により、東日本の植生の変化が縄文人の食生活を打撃し、もともと北方の寒冷な気候に順応していた弥生人に活躍の場を譲ったという見方もできる。
 問題は、日本人は世界で最も優れた自然環境の中で生活してきたため、水を含む、環境の有り難味を理解できていないことだ。そして、世界をコントロールしようとする国際金融資本が最後にコントロールできないのが、地球環境なのだ。
 このことは英文契約書において、Act of Godとして示される、いわゆる天変地異を含む。Riskとしての不確実性は人為によってコントロールできるが、環境変化はそうはいかないことを彼らも認めているのだ。ただし、科学技術の発展により、環境変化を予測できるようになったのもまた、事実である。そして、近未来の地球環境悪化がある程度予測できており、この観点から、日本の取りうる長期国家戦略は「環太平洋連合」しかないことを論証したい。

△ 環境の観点からの日本の優位
 日本は島国で海岸線が長く、中緯度で四季がある。この条件を満たす地域は多くない。地球温暖化が現実のものになりつつある現在、日本はその影響を大陸の内陸よりは受けないのである。洪水、旱魃、酷暑、酷寒は今後大陸の内陸部で恒常化するだろう。生存に適した日本はかならずやこの点でアドバンテージがあるのである。卑近な例でいえば、飲み水にことかかない事は近い将来必ずや戦略的アドバンテージになる。中国を含む大陸内部の乾燥化、砂漠化は間違いなく飲み水の欠乏を招く。海水の淡水化が技術的には可能でもコスト高である以上、近い将来、天然の水が最大の戦略資源として輸出対象に成り得るのである。エジプトとスーダン、イスラエルとシリア、インドとバングラディシュの対立の理由にはこの水源を巡る争いがあるのである。
 日本人はこのことの有用性に気づいているであろうか。強力な16号に代表される台風、梅雨や豪雪は全て神の恵みであり、感謝しなくてはならないのだ。この水資源を有効活用し、ランドパワーに対して有利な立場に立つことができる。

△ 世界の水事情
 参考までに、世界の水事情を見てみたい。人口の急増、産業の著しい発展によって水不足が増大しており、現在、アジア、アフリカなど31ヶ国で水の絶対的な不足に悩んでいる。また、水不足が深刻な食料不足をもたらしている地域も拡がっている。
・水が原因で、年間500〜1、000万人が死亡
・12億人が安全な飲料水の確保ができない。
・8億人(=世界人口15%)が1日2,000カロリー未満の栄養しか摂取できず
・30億人が十分な衛生設備を利用できない
・2025年には48ヶ国で水が不足する見込み

 急激な人口増加や工業の発展などに伴い、下水道等の施設整備が追いつかない途上国を中心に著しい水質汚染が問題となっておりこの事態について国連は1998年に以下のような報告をしている。
・途上国における病気の80%の原因は汚水
・水が原因とされる病気で、子供たちが8秒に一人ずつ死亡
・世界人口の50%に対し、下水道施設が未整備
・淡水魚の20%の種は、水の汚染により絶滅の危機
・内分秘かく乱物質等の有害物質による水の汚染

 増大する水需要への対応やポンプ等用水技術の進歩によって、過剰な地下水の汲み上げが行われ、これに伴う地下水位の低下、地盤沈下が世界各地で発生しています。さらに地下水の影響は水循環全体に現れ、地下水の水質の悪化や河川流量の減少などによって生態系にまで及ぶ問題に発展している。
・中国の穀物の約40%を生産する華北平原の大半の地域で、地下水位が1年間に1〜1.5mずつ低下
・現在のサウジアラビアにおける地下水使用量ベースを続ければ、2040年までに地下水資源が完全に枯渇

 都市化による急激な土地利用の変化や森林の伐採により、洪水時の流出量が増大するとともに、人口急増のために危険な氾濫区域に多くの人が居住するようになった結果、洪水による被害は大きくなっている。
 急激な人口増加は都市において特に顕著で、水供給に限界に直面した国々では都市の増大する水需要を満たすためにかんがい用水を転換利用したり、水資源開発施設を建設したりして都市周辺、あるいは遠方から都市に大量の水を集めています。さらにこの水は都市において大量に消費されるとともに、大量の下水が発生する。
 また、急激な都市化は、土地利用の変化に伴う流域保有能力の低下や、氾濫区域への居住地の進出を引き起こし、この結果、洪水被害が増大している。
地球温暖化は気候に影響を与え、そして水の循環が洪水や渇水被害をより大きく、かつ頻発させる原因となると考えられており、世界の多くの地域に深刻な影響を与えている。
 予想される海面上昇は、バングラデシュ、中国、エジプト、ナイジェリアのような標高の低い沿岸地域に多くの人々が住んでいる地域で、大規模な氾濫が発生するのではないかという不安を与えている。

△ ユーラシアを襲う深刻な環境破壊
http://www.c-crews.co.jp/gnext_express/news/back/0306/030630_14.html
・ 過剰取水で面積半分に/中央アジア・アラル海 -2003/06/30- 
 流域での過剰な取水により面積が半分以下になった中央アジアのアラル海の大部分で、塩分濃度の急上昇が続き、周辺住民の健康被害や生態系の破壊が続いていることが分かった。シカゴでの世界湖沼会議で24日、ロシア科学アカデミーの専門家で、現在は国際湖沼環境委員会(滋賀県)に所属するニック・アラディン博士が明らかにした。
 同博士は「北側の一部では改善の兆しが見られるが、他の地域で状況が好転する可能性は低い」と警告。国際協力による対策の強化を求めた。
 アラディン博士によると、アラル海に流れ込むアムダリヤ、シルダリヤの両河川からかんがい用水が大量に引かれたため、かつては世界第四の面積があった湖は縮小。1989年には北の小アラル海と、南側の大アラル海の2つに分かれた。
 大アラル海ではその後も取水が続き2001年までに水量が半減。89年当時は1リットル中30g程度だった塩分濃度が最近では同70gに達し、生物の種類数が激減した。また、露出した湖底から大量の塩分が周辺に吹き飛ばされ飲料水や農地が駄目になり、呼吸器障害や高血圧などの健康影響も深刻化している。
 アラル海の衛星写真
http://www.torikyo.ed.jp/rika/tikyuu%20to%20utyu/utyu%20kara%20tikyu%20kankyo/ningenkatudo/album00001.htm
 スペースシャトルから見た中央アジアのアラル海。かつては世界第4位の面積を誇る湖だったが、周辺の河川の水を灌漑農業に利用し続けたため、50年間で40パーセントの面積が消失してしまった。(映像提供 NASA)
 中国では、北京の北、天安門から70キロの所に砂漠が出現している。すなわち地球の温暖化に伴って、中国においては砂漠が急速な拡大を見せているわけであり、北から南へ砂漠がどんどん下へ降りてきているのである。
 研究者の中には、中国では今後50年以内に3千万人の環境難民が発生すると考えている者もいる。中国の北部一帯は全部地下水の枯渇に直面しており、北京は既に、59メーター掘らないと地下水が出てこない。どんどん地下水を組み上げているから、年間1.5メートル位、地下水の水位が低下している。中国の砂漠の拡大スピードは、一年間に2460平方キロ。これを1秒間に直すと78平方メートルずつ、全中国で砂漠が拡大している。1998年までに砂漠化した土地の面積は262万平方キロ。日本の面積の7倍位が、もう砂漠になってしまっている。砂漠は北京へ進撃を続けているが、1年間に3.4キロメートルずつ進撃している。つまり、天安門まで70キロだから、このままいくと、恐らく30年から40年で北京は砂漠化するであろうと考える。
 要するに、今後の世界地図は水資源の確保をめぐって、書き換えられると考える。この観点から沿岸部や島嶼部は大陸内部より優位に立つ。今世紀、水は代替エネルギーの開発が視野に入った石油を上回る戦略資源となるだろうし、この観点から日本は世界で最も進んだ海水の淡水化技術や雨量の多さにより圧倒的優位に立つ。

<参考>
 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成16年(2004)8月30日(月曜日) 通巻 第900号 <<900号記念増大号>>
 中国の水不足と環境汚染は3000万人規模の民族大移動を引き起こす。黄河は渇水し、長江の水を引っ張る運河は20年後の話だ。
 100以上の都市で深刻な水不足: 中国の百以上の都市で水不足が深刻化している。全土の都市部における水不足は60億立方メートルに達する。おまけに地下水まで汚染されている。
 筆者自身、中国を旅行していつも悩まされるのは毎日の水の確保だ。夜寝る前にミネラルウォーターの買い出し、ついで風呂である。地方のホテルに泊まるとシャワーさえ出ないことがある。出ても赤水。黄河上流地区ではボイラーの劣悪、配管の悪さが原因だが、下流は明らかに節水のやりすぎによる。
 街では家庭用にガロン缶の水を売っている。通勤はミニサイズのミネラルウォーターを携帯し、スーパーには数十種類のボトルで商品棚が溢れている。しかも水がビールより高いのだ。

△ 【パリ18日】欧州連合(EU)環境保護機関(EEA)は18日、欧州の地球温暖化は他のどの地域よりも急速に進んでおり、極めて異常な気象や海水位の上昇、増加する一方の温暖化ガスにより欧州はますます打撃を受けるようになっていると警告する報告書を発表した。報告書は、欧州北部は湿度が高くなる方向にある半面、欧州南部は乾燥化が進むと予想され、一部地域の農業を脅かす恐れがあると述べている。(写真はスウェーデンのストックホルムに降るボタ雪)
 報告書は、昨年夏のように欧州の熱波が頻度と激しさを増すため高齢者と虚弱者は命にかかわる脅威に直面すると指摘する一方、スイス・アルプスの氷河の4分の3は2050年までに姿を消す可能性が大きいと予想、海水位も今後何世紀にもわたり上昇するだろうと警鐘を鳴らしている。
 報告書によれば、主要な温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)の大気圏下部での集中度は現在、少なくとも過去42万年間、あるいは長ければ2000万年間の最高に達しており、産業革命以前のレベルを34%も上回っているという。欧州の気温は2100年まで、世界の他の地域よりも早いペースで上昇する見込み。EEAは欧州が全世界的な気候変動のインパクトを制限するための戦略を策定するよう勧告している。〔AFP=時事〕 
 次号では、このような地球環境変化の影響を考察してみる。
<参考>
 この時期に、イスラエルのスパイが摘発されたのは、イスラエルによるイラン攻撃を巡る米政権内の軋轢によるものだ。事態はそれだけ切迫しているといえる。
 近いうちに、大きな動きがあるだろう。私の友人知人達によると、アメリカで反ユダヤ感情は今までに無い高まりをみせているとのこと。イラク戦争が誰によって起こされたかみんな知っている。

△ 国防総省内にイスラエルのスパイか=ロビー団体通じイラン情報流す
【ワシントン28日】米当局者は28日、国防総省の高官が親イスラエル・ロビー団体の従業員の助けを借りて米政府の対イラン政策の機密文書をイスラエルに流していた疑いが持たれ、捜査が行われていることを認めた。(写真は米国防総省庁舎)
 捜査は同省ナンバー3のファイス次官の事務所にいる人物を対象にしているという。連邦捜査局(FBI)は、この人物は金銭は受け取っておらず、ユダヤ国家イスラエルに対するイデオロギー的な支持からこうした行為を働いたとみている。
 情報は、強い影響力を持つロビー団体「米国イスラエル公共問題委員会」(AIPAC)で働いていた少なくとも1人を通じてイスラエルに渡されたとされる。AIPACのスポークスマンはこの疑惑を否定した。
 イスラエル政府高官も公共放送に対し、同国はここ何年もの間、米国で情報収集活動は行っていないと言明した。ある当局者は「この事件は奇怪であり、何のことだか分からない」と述べた。在ワシントンのイスラエル大使館は「われわれはこの疑惑を否定する。米国はイスラエルの最も重要な友好国であり同盟国だ。イスラエルはこの関係を損なうようなことは決してしない」との声明を出した。
 1985年11月には、米海軍のジョナサン・ポラード分析官が18カ月間にわたりイスラエルに機密文書を流したとして逮捕される事件があり、この後、イスラエルは米国でのスパイ活動は行わないと確約している。ポラード分析官は87年に終身刑の判決を受けたが、イスラエルが同分析官をスパイと認めたは11年後になってから。その後、イスラエルは同分析官への恩赦を求めてロビー活動を行っている。〔AFP=時事〕
 [時事通信社:2004年08月29日04時00分]
<参考>
http://www2.starcat.ne.jp/~delphyne/guerre185.htm

△ 『アメリカ合衆国を攻撃したのは誰か?』
 合衆国の軍事情報筋はある内部諜報メモの細部を明らかにし、それによると、イスラエルの諜報機関モサドが、世界貿易センターおよびペンタゴンの攻撃に関わっていた。同情報筋は匿名を希望しているが、合衆国の諜報メモが4週間前に内部的に回覧されたと確言している。そのメモには、イスラエルが合衆国領内を覆面で攻撃する怖れがあるということが記されていた。合衆国の利益へのあからさまな攻撃を通じて、パレスチナのアラブ人の側に傾いている世論を逆転させ、パレスチナのアラブ系住民に対する大規模な軍事攻撃の実行への、ゴーサインを得ようとしているとされていた。
 9月11日の攻撃については既に多くの専門家たちから、孤立したテロリスト集団の仕業としては手が込みすぎているという指摘が上がっていた。「こういう攻撃には高度な軍事的精度が必要ですし、高等な諜報機関からの情報がなければできません。攻撃をした人たちは、大統領機の飛行がどのように行なわれているのか詳しく知っていなければなりません。民間航空機の飛行経路についても、またワシントンのような重要な都市について合衆国がどういう防空計画を立てているか、などについて精通している必要があります」とイスラエル諜報機関の活動に関する専門化のデイヴィド・スターンは述べている。攻撃はペンタゴン、世界貿易センターだけでなく、ホワイトハウスと大統領機をも標的にしていたとFBIは言っている。
 「攻撃によって合衆国の世論が転換し、イスラエルに都合のよい方向に戻ったのは確かなことです。パレスチナで蜂起が11ヶ月続き、ダーバンの国連主催会議ではイスラエルは戦争犯罪あるいは人種差別ということで、厳しい非難を浴びました。その後での出来事です。この攻撃で利益を得るようなアラブ系の集団も国家も存在しません。パレスチナの政治指導者や警察幹部を暗殺するという、イスラエルの殺人政策が国際的な弾劾の的になっていたまさにその最中に、これは起こったのです」とスターンは付け加えた。
 確証された場合の話ではあるが、イスラエルの合衆国攻撃への関与というニューズは、諜報専門家にとってはたいした驚きではない。イスラエルには、他者に擬装して西欧を標的に攻撃する長い歴史がある。キング・デイヴィド・ホテルやUSSリバティ号の攻撃事件、スカンジナヴィア国連特使の殺害、ジョナサン・ポラード事件の時の合衆国に対するスパイ活動などがそれである。
 水曜日に合衆国国防総省は、攻撃があって以来日常的に生じていると同省がしている、捜査に関する情報漏れを停止するよう、同省の役人たちに警告を発している。 海賊訳:Massa  ソース:「インテル」(カナダ) 以上
(江田島孔明、Vol.17完)


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