◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略 VOL29
 江田島孔明

JOG-Wingが台湾の声に掲載される!
 メルマガ”台湾の声”2004/11/11号にJOG-Wing No.903号、
 ”海洋国家日本の21世紀地政学戦略(36)
△ 高まる海洋アジア諸国連合への支持”が掲載されました。
http://melma.com/mag/56/m00000256/a00000917.html
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 前々回(VOL27)述べた、「中国の経済破綻」が現実化しつつある現在、可能な限りこの国の将来を予測しつつ、日本のとるべき戦略を提言したい。重要な点として、現在は、二度の世界大戦に匹敵する戦国時代もしくは、「地政学上の大変動期」だということだ。私は、昨年のイラク戦争開戦前から、今日の事態を予測し、メルマガを通じた地政学戦略の提言を使命と考え、文筆活動に入った。
 前回は、地政学戦略の誤りから、ランドパワーと組むという誤りを犯し、亡国の憂き目をみた。今回も中国やロシアはアメリカの弱体化を横目に、その本当の意図を隠して、日本に接近するだろう。ロシアによる二島返還論は、日米の離反工作であり、日本の金と技術でシベリアを開発したいだけなのだ。だまされてはいけない。私は、日露が友好関係に入らないための担保として、北方領土問題は永遠に解決すべきではないと考える。

 危機管理能力を喪失した日本政府、大本営発表と化したマスメディアは、この「地政学大変動時代」を理解できず、場当たり的な対応に終始している。このままでは、日本は戦前の二の舞を演じてしまう。
 重要な点として、世に横溢する経済評論家や軍事評論家は、それぞれの専門分野を見ているだけで、「軍事と経済は一つのコインの表裏の関係」にあるという国家戦略上の大原則を見ず、「群盲、象を撫ぜる」という状況にある。
 つまり、軍事、外交、経済、政治を包括する国家戦略が日本には無いのだ。第二次大戦の失敗も、このような点に基づいており、何ら改善されていない。
 今度は、先の大戦を反省材料として、その轍をふまないために、地政学戦略を真剣に構築するべきだ。日本は、今こそ、戦後封印された地政学を呼び起こし、真に地政学と歴史を理解する人材を、国策として大量に養成する必要がある。それが国家戦略樹立の第一歩だ。
 このような危機感から、私が心血を注ぎ書き上げる本メルマガが、「日本の地政学戦略樹立」の呼び水となれば、望外の幸せだ。

△ ランドパワーとシーパワーの視点で見る中国
 中国は、その歴史を概観してみれば分かるが、大きくわけて北部と南部では、文化や気候、人間の性質に至るまで大きく異なる。この文化の違いは、俗に「南船北馬」といわれるように、別の国と考えた方が良い。簡単にいうと、華中、華南がシーパワー、華北がランドパワーだということだ。これは、経済的に発展している地域が、華中華南の沿岸部に集中しており、華北や内陸にはたいした産業が無く、防衛や治安、インフラ整備のための、「高コスト体質」になっている点を見れば分かる。
 日本の1000兆に達そうという借金が、地方のインフラ整備によってもたらされたことを考えれば、日本の25倍の面積と、はるかに遅れたインフラしかない中国の問題の大きさがわかるだろう。上海であげた利益とODAだけで、どうやって華北や内陸部をまかなうというのか。既にこのバランスが崩れているのは目に見えている。これが、暴動頻発の原因。

1、真の分裂は南北分裂
 人類史を貫く法則として、ランドパワーとは、周辺国支配、国内異民族支配のための陸軍や秘密警察を保持する必要から、非常にコストがかかる。反対にシーパワーとは、海上交易によって利益を上げ、周辺地域とは経済的交流を図ろうとする。もっと簡単に言えば、「奪い、殺すランドパワーと買い、助け合うシーパワー」の相違といえる。
 この両者の間に何が起きるかといえば、言うまでもなく、「経済的に貧しいランドパワーは、シーパワーから奪おうとする」であり、それに対抗して、シーパワーは「同盟を組んで海上で対抗」することも、世界史のセオリーだ。古代ギリシアとペルシア、オスマントルコとベネチア、モンゴルと南宋などの間にこのパターンが見られた。
 このような視点で、現在の中国を見ると、上海や香港と北京あるいは内陸部との間には、非常に大きな緊張関係があることが分かる。この緊張関係は、江沢民時代は、上海閥が北京を支配することで中和されていた。つまり、シーパワーがランドパワーを押さえ込んでいたのだ。
 しかし、江沢民が失脚し、胡錦濤が主席となった後、彼は、上海閥をパージ(江沢民を辞任させ、党中央軍事委主席に就任するとともに、委員は彼以外、全て軍人であり、上海閥が不在)し、農村問題、失業者対策西部・東北問題への取り組み等社会的弱者や地域格差対策を重視、すなわち、ランドパワーよりの政策をとろうとしている。
 今後、北京政府は日系企業を含む沿岸部にこのコストを転嫁してくるだろう。そのための独禁法制定だ。中国のことわざに、『川を中ほどまで渡らせてから攻撃せよ』がある。これは、敵を撤退不可能なレベルまで誘い込んだ上、退路を絶って、総攻撃するという意味だ。ランドパワーの伝統的退却戦術ともいえる。今がその時だ、日系企業は速やかに撤退すべき。
 更に、ランドパワーを押さえる切り札は言うまでも無く軍事力だが、その軍事力を胡錦濤が本当に掌握しているのか疑問が残る。今回の潜水艦の領海侵犯事件も、あるいは、軍部の独走による胡錦濤体制へのゆさぶり(背後に江沢民?)かもしれず、今後の展開は予断を許さない。むしろ、潜水艦事件により、中国の海軍力が日米に遠く及ばないことがはっきりした以上、日露戦争後のロシア帝国のようになると予想される。

<参考>
 中国の分裂についての下記サイトの予測は一読の勝ちあり。
 「中華帝国の死」
http://www6.plala.or.jp/masak12/polsci/ir/great_power_politik/chinese_ethnicity.html
「中国はこのまま行けば必ず分裂します。それは、歴史的に見てもこれは特殊な帝国だからです。中国の人口比は90%以上は漢民族であるにも関わらず、少数民族が中国の大部分を占める広大な土地を住処としています。これが何を意味するかというと、あまりにも漢民族の絶対数が多いため、中国のあらゆる民族政策が「中華民族の創造=漢民族による少数民族の吸収」として認識されるということです。広大すぎて中共の統制が完全に行き届かないにも関わらず、時間をかけず早急に中華民族を創造するという無茶な政策が成功するなど考えられません。
 最悪なことに、内陸の少数民族自治区と沿岸の漢民族居住地域の経済格差は広がる一方で、少数民族が漢民族を中国人として同一視すること、そして漢民族が少数民族を同一視する事がもはや不可能になりつつあります。中共はこの状態にただならぬ危機感を覚えており、家系や出身地域ごとの風習を研究分析した上で新しい少数民族を「発見」し、登記上漢民族として扱っていた人々を少数民族に振替えるという作業を行っていますが、こういった人工的な民族の操作には限界があります。今まで漢民族として名乗っていた人物が、ある日突然「私は実は満州人だったんだ」と言いつつ東北地方に移住した所で、それが受け入れられるわけがありません。統一したナショナリズム不在のまま、中国が単一の行動体として存続出来る時間はあと僅かです。」

 「保税区消滅、そして分裂の未来」
http://www6.plala.or.jp/masak12/polsci/ir/chinese_disintegration2.html
 「バブル崩壊が近いとして、日本は大陸に対する投資を控えるべきか。私はそう思いません。これはバブル崩壊を引き起こすための投資(ドルを過剰に注ぎ込む事で、金融機関に無駄な融資を促進させる措置。ちなみに今の大陸の融資環境はバブル期の日本と酷似)であり、バブル崩壊後に大陸が分裂の危機に瀕した際、いち早く上海以南の沿岸勢力を自陣営に引き込むための布石であると捉えるべきです。『中共憎んで地方憎まず。』これを理解できなければ、日本の国益云々を語る資格はありません。」
 不動産バブル崩壊
http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/041116ssqs.htm
 「中国における不動産市況はすでに警戒水域に入っている。残念ながら、1980年代後半の日本の経験からも分かるように、バブルは、はじけて初めてその存在が認められるものである、中国が一刻も早くソフトランディングに向けた対策を採り、日本の轍を踏まないことを祈りたい。」

 『中国は投資にふさわしい国か?』
http://www.amma1.com/Mazuidaro/Mazuidaro007.htm
 「私は投資するなんてイヤですけどね。少なくとも中国が、恩を仇でしか返せない国であるうちは。
 自分が援助したカネや技術で中国が武装して、それによって日本人が脅迫されたり殺されるなんてマヌケなことはしたくありません。中国ビジネスは商社マンのような肉食系日本人に任せて、普通の草食系日本人は深入りしないほうが身のためだと思いますよ。」

2、新幹線が北京と上海の対立に火をつける
 ランドパワーよりの政策の象徴である、国家プロジェクトの北京と上海の間を結ぶ新幹線についても、このような視点で考える必要がある。すなわち、上海の立場に立てば、平時は金を北京に吸い取られ、有事には軍隊を輸送されるためのツールになるのだ。面白いわけがない。
 世界史的にみると、ランドパワーは、国内の秩序維持のため情報や移動の統制を敷く。これは、TVやFAXの普及が東欧革命を主導したことでわかる。ランドパワー江戸幕府は、大井川に橋をかけず、箱根に関所を設けて、人の移動を規制した。ちなみに、この関所破りは江戸時代の最大の重罪であり、捕まれば磔刑となった。
 このように考えると、携帯電話やインターネットやTVの普及、新幹線開通は中国の分裂と内乱に繋がることは明白だ。共産主義を捨てたにもかかわらず、共産党が独裁支配しているのは、既得権の擁護にすぎない。
 民主化要求が沿岸部で噴出した時点で中国の分裂は確実になろう。このような見方は、地政学の泰斗、ブレジンスキーの下記著作の見方と一致することを付け加えておく。
 <紹介>
http://www.nikkei-bookdirect.com/bookdirect/item.php?did=14631
 ブレジンスキー著  「世界はこう動く」”The Grand Chessboard”

3、南北対立は軍事対立に発展?
 このように、ランドパワーよりの政策とは、つまるところ92年の南巡講和(その昔、皇帝が華南地方に遊んだことを「南巡」と呼んだことから、「天安門事件」後、一時的に政治の表舞台から身を引いていたトウ小平氏が中国南方を巡遊したことを指す)の後、先に豊かになれるものから豊かになり、それから全体を牽引すればいいではないかとする「先富論」や、白くても黒くてもネズミをとる猫は良い猫だという「白猫黒猫論」が支持されるようになり、改革開放路線が加速したことからの、戦略的大転換となる。
 結果として、「先に豊かになった」上海・香港VS北京・内陸の対立が今後、表面化した場合、最悪の事態として、上海や香港が金で人民解放軍を買収し、内戦を迎えるという可能性すらある。『人民解放軍とは本来、有力者の私兵』であり、その本質は三国志の頃から変わっていない中国の土着性にある。彼らが北京にいつまでも従っているかどうかわからないし、私は友人の日本在住上海人に、北京共産党政府への憎悪を何度も聞かされ、日本の核武装を支持するという言葉も聞いたことがある。彼らは、明確に親日反中共(反北京)だ。こういった上海系の高度な技術をもった親日派をどうやって遇していくか、今後のシーパワー戦略を考える上で、重要な課題だ。
 私は、厳密な規制を設け、ごく少数(年間1000人程度)なら受け入れて、日本国籍を与えるべきと考えている。むしろ、国籍取得を永住の条件とすべきだ。私の友人を含む、彼らも、それを望んでいるのだから。前号にも書いたが、イギリスやアメリカのシーパワーとしての発展は、大陸欧州での迫害を逃れてきた優秀な貿易、金融業者である『ユダヤ人』を受け入れたことに始まるのだから。上海やインドの親日であり、最優秀な人材をどうやって取り込んでいくかが重要な課題と考える。

4、シーパワー連合
 そして、シーパワーの観点に立てば、この上海VS北京と言う構図は、最も日本、台湾にとって、望ましいことを理解すべきだ。「大陸を支配したければ、その港を奪え」とは15世紀のポルトガルの海軍提督アルバカーキの言葉だが、かって、英国はオランダのスペインからの独立戦争にあたり、徹底的に支援した。
 同じ新教国であったからというのは、表面的見方であり、真の理由は、オランダの港を支配できれば、全欧州の支配をスペインから奪うことができることを知っていたからだ。大いに参考にし、上海の独立に力をかすべきだ。そして、日本台湾連合で、上海を独立させるには、
(1)日本政府と北京政府の政府間交渉をゼロにした上で、上海、台北、東京、神戸といった環太平洋都市間連合を樹立する。
(2)江沢民をはじめ、失脚した上海閥を買収
(3)対中ODAを廃止し、対上海ODAにする
(4)上海とのみFTA(自由貿易協定)を結び、日本・台湾と上海との貿易の利益を現地の人民解放軍にも分けるような仕組みをつくる。これは、人民解放軍を我々の私兵にするため必要
(5)上海と内陸の間に万里の長城を構築する。大運河でもよい
(6)この日本、台湾、上海連合構想に、インド系やユダヤ系商人を参加させ、日本単独での実施は行わない。

 要するに、彼らに、砂漠化が確実で将来性「ゼロ」どころか「マイナス」の北方民族の北京よりは、黒潮で結ばれ、民族系統も近い日本や台湾と組むことの利益を悟らせるのだ。そのためには、上海閥が失脚した今が最大のチャンスと考える。上海や香港の独立から、環太平洋連合加盟を、21世紀のハンザ同盟こと、環太平洋連合の当面の目標とすべきだ。逆に言えば、もしこれに失敗し、中国で内乱が拡大した場合、軍事独裁政権が樹立される可能性があり、日中の全面戦争を覚悟しなければならない。
 今こそ、大都(北京)を都とした華北の大ランドパワーモンゴルに対抗し、南宋の無学祖元を禅師とした北条時宗公を見直すときだ。
 <参考>
 朝鮮戦争時の韓国軍、白善ヨプ将軍の著作
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/479421202X/250-2364519-8366647
http://www.esbooks.co.jp/books/detail?accd=31114105&introd_id=Xmo46Wk9o36m949Wi81GiiX46oG13X6X&pg_from=p

5、 繁栄をもたらした【海洋勢力】との連帯
a. JOG(104) ヴェネツィア
人工島の上に作られた自由と平等の共同体。
b. JOG(115) オランダ盛衰小史
なぜオランダは「大英帝国」になり損ねたのか?
c. JOG(134) 共生と循環の縄文文化
約5500年前から1500年間栄 えた青森県の巨大集落跡、三内丸山 遺跡の発掘は、原日本人のイメージに衝撃を与えた。
d. JOG(304) 日本のルーツ? 長江文明
漢民族の黄河文明より千年以上も前に栄えていた長江文明こそ、日本人のルーツかも知れない。
 <参考>
 これは、ネオコン主導(実質的にイスラエル)のCIA再編を国防総省と共和党保守派が潰したものだ。予想通りアメリカで内部分裂が起き始めている。アメリカ人VSシオニストの内戦は今後本格化するだろう。

△ 米情報機関改革法案が否決、ブッシュ大統領に暗雲?
 【ワシントン=伊藤俊行】米同時テロやイラクの大量破壊兵器をめぐる諜報(ちょうほう)活動の不備に対する反省から始まった情報機関改革で、ブッシュ大統領が足元の共和党の抵抗にあい、改革の柱となる法案を否決されてしまった。
 情報機関改革法案は、中央情報局(CIA)など15の情報機関を束ねる「国家情報長官」に、情報活動の予算、人事などの権限を集中し、縦割りによる弊害を無くすことが最大の柱。ところが今月20日の下院本会議で、大統領やチェイニー副大統領の強い働きかけにもかかわらず、与党・共和党の反対で否決された。
 しかも背後にいたのは、国防総省とされる。国防総省は現在、情報関係予算約400億ドルのうち80%を抑えるが、改革が導入されれば、新設の国家情報長官にこの予算の75%の執行権限が移行するからだ。
 ラムズフェルド国防長官は23日の会見で「大統領の立場を支持するのが政権の一員だ」と述べ、法案つぶしには無関係と強調したが、マイヤーズ統合参謀本部議長は同じ会見で、法案に反対する書簡を議会に送ったことを認めた。
 激しさを増す政権内対立の中で、大統領がどこまで指導力を発揮できるかが、1月20日に始まる2期目を占うことになりそうだ。
?(2004/11/26/01:46 読売新聞 )

△ 世界は本格的戦国時代に入った。日本も対応すべき。
 韓国、国防費を毎年平均11%引き上げへ
 韓国国防部は15日、韓国は今後「自主的な国防」の構築のため、国防費を毎年平均11%ずつ引き上げていく意向を発表した。
 韓国国防部の官員は同国国会が開いた党と政府の会議で、「米国が韓国に駐在する米軍兵力を削減することに対応するために、韓国は戦闘力の空白を独自に埋め、2008年末までに国防費を毎年11%前後引き上げていく」と述べた。
 同官員によると、韓国の2005年度の国防予算は20兆8200億ウォン(2兆820億円)、うち韓国軍の戦闘力向上に当てる費用は7兆8500億ウォン(7850億円)で、今年に比べ12.6%増加した。韓国の国防予算が国内総生産(GDP)に占める比率は、現在の2.8%から2007年には3.2%となる見込み。(編集SN) 「人民網日本語版」2004年11月16日   以上
(江田島孔明、Vol.29完)


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