
◯ 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略 VOL40
江田島孔明
今回は、本メルマガの本来の原点である、「世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略」を古代ギリシア(シーパワー)とペルシア(ランドパワー)の間に戦われたペルシア戦争とそれを指揮した、史上初のシーパワー戦略家テミストクレスについて、考察したい。
既に火蓋を切った対中戦を勝ち抜くには、指導者はテミストクレスの他にはありえない。
下記はいよいよ、日米台の軍事同盟が完成したことを意味する。ここまでは私の筋書き通りだ。
<参考>
◎ 台湾海峡有事を警戒 日米戦略目標の全容判明 (共同通信)
日米両政府が19日にワシントンで開く外務、防衛担当閣僚の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意する「共通戦略目標」案の全容が17日判明した。
中国の軍事的な台頭を踏まえて台湾海峡での中台有事に警戒感を示し、中国に「建設的で責任ある役割」を果たすよう期待を表明。核兵器製造を宣言した北朝鮮への対応に関しては、6カ国協議への早期復帰と日本人拉致問題の解決を求めるとともに「朝鮮半島の平和的な統一」を目指す姿勢を明記した。
共通の戦略目標は2プラス2直後に発表する共同声明に盛り込まれる見通しだ。日米両政府はこれを基に在日米軍再編協議を加速させ、日米同盟の一層の強化を図る。 [ 2005年2月18日2時13分 ]
△ テミストクレスとは
テミストクレス Themistokles(前527年?〜前460年?、前462年?)古代アテネの軍人・政治家。前480〜479年の第2次ペルシア戦争の中で活躍、とりわけサラミスの海戦でアテネ艦隊の指揮し、ペルシャ軍を破る。しかし勝利の8年後、陶片追放にあってアテナイから追い出され、遠いペルシアで客死。
家柄はあまりよくなかったが,生まれつき頭脳明敏で野望に燃えていた。幼いころから,普通の子どもの遊びには加わらず,自分ひとりで演説の練習をしていたという。彼は功名心に駆り立てられて政治家への道をひたむきに進んでいった。最大のライバルはアリステイデスだった。
前493年に首席アルコンの要職に選ばれ,ペルシアの来襲を見通し,ラウリオン銀山の収益を市民に分けるのを控えさせ,それを三段橈(かい)船の建造費に回した。こうして前480年にペルシア王クセルクセス1世が攻めこんできたときに,テミストクレスはストラテゴス(将軍)として艦隊を指揮し,ペルシア軍をサラミスの海戦で破った。
ペルシャ王クセルクセス1世のギリシャ再攻撃を察知したアテネ人がデルフォイにうかがいをたてると、「木の壁」をもって防衛せよとの神託がくだった。テミストクレスはそれを船のことだと解釈し、軍船を建造させた。サラミスの海戦の前日、敵の攻撃をまてというテミストクレスの勧告にもかかわらず、ギリシャ軍ははやくも退却しようとしていたので、彼はクセルクセスのもとに使いをおくり、ギリシャ軍が退却する前に攻撃をしかけよと伝言して開戦をせかせた。ペルシャ軍はせまいサラミス水道に進入して動きがとれなくなったところでギリシャ軍に遭遇し、海戦がはじまった。彼が指揮をとったアテネ艦隊は、ペルシャ艦隊をうちやぶる。この勝利によってテミストクレスは英雄となった。
テミストクレスはすぐれた政治家であり、彼の海軍重視の政策はアテネ帝国の基礎となった。また西方への植民を計画した最初のアテネ人のひとりで、交易を推進し、アテネの町を外国人商人に開放した。
△ 戦後のテミストクレス
その後,彼は戦火に崩れたアテナイ市の立直しを図り,城壁を築き,さらにペイライエウス(ピレウス)港の建設を始めた。これはアテナイを海に結びつけようとする政策に基づくものだった。しかし,政敵キモンと争い,また,比類のない声望を憎まれて,あるいは傲慢な態度が人々の怒りを買って、前471年ころ陶片追放にあう。アテナイを追放された彼はアルゴス,コルキュラ,エペイロス,マケドニアと転々し,小アジアに渡った。そして,敵国ペルシア王アルタクセルクセスに厚遇され,マグネシアの総督に任ぜられ,その地で病に倒れた。毒杯をあおって死んだとも伝えられている。
△ テミストクレスの考察
私がこのテミストクレスが真に偉大だと考える所以は、ペルシャの来寇を正確に予測し、しかも、ギリシャとペルシャの戦争がシーパワーとランドパワーの対決という形態をとることから、ランドパワーの土俵である陸地での決戦を徹底的に回避し、海戦に全力を傾注し、勝利したということにつきる。この「陸地の放棄」は徹底しており、アテネや聖地アクロポリスをすら放棄し、ペルシャの蹂躙にまかせているのだ。世界史を概観しても、ここまで徹底したシーパワー戦略は他に例がない。
次号では、日本はこのテミストクレスのシーパワー戦略をいかに生かしていくべきかについて、戦略を検討する。 以上
(江田島孔明、Vol.40完)
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